学びハブ

ホーム ー おすすめの記事

AI時代の子供達に必要な能力とは?親のためのサポートガイド

#能力 #未来 #教育 #AI
記事カバー

【目次】

    AI時代とはどんな時代になるのか?

    AI時代の到来

    書店やメディアでもAI時代というキーワードが溢れ、AI時代に生き残るには?AI時代で活躍できるお仕事は?AI時代に必要な能力は?など日々たくさんの特集が組まれており注目度の高さがうかがえます。

    AI技術は現在急速に進歩していますが、完全なAI時代がある時突然に訪れるわけではありません。様々な専門家が分析していますが、AIの応用分野も多岐にわたり、実際のところ具体的な時期や速度を予測することは現時点では難しいため、AI時代の正確な年代や年数を示すことはまだ難しいようです。

    しかし、AIの応用は既に進行中で、一部の分野ではすでに私たちの生活にも大きな影響を及ぼしています。つまり、AIがあらゆる側面で完全に普及し、現代人の生活や社会のあり方に根本的な変革をもたらす段階は、明確にいつと言えないまでも将来的に必ず到来するものと考えられるのです。

    AI時代とは?

    それでは、具体的にAI時代とはどのような時代になるのでしょうか?

    AIとは、Artificial Intelligenceの略で人工知能のことです。そして、AI時代とは、人工知能(AI)の技術や応用がかなり広範に活用されている時代の事を指します。

    AIの技術というのは、人間の知能を模倣・拡張する技術のことを言います。例えば、この技術は、データ解析の一つである機械学習、自動化、人間のタスクを自然にこなせるよう、コンピューターに学習させるディープラーニング(深層学習)、自然言語処理の分野で日々進歩しています。

    具体的にAIが産業やサービスに応用されている身近な分野では、自動運転、ロボット工学、医療診断、自動翻訳などに代表されるDeepLやChatGPTなどの自然言語処理のアプリケーション、サポートチャットボットなどのパーソナルアシスタント、AIやIoTといったデジタル技術を使い、時間の節約や生活の快適性、セキュリティの確保などを総合的なマネジメントを提供してくれるスマートホームなどの領域での進展が特に期待されています。

    そして、将来的な展望としてAI技術が進歩することで効率化や生産性の向上、新たなビジネスモデルの創造、社会課題の解決にも貢献する可能性があると言われています。

    AI時代の到来で起こること

    今後、AI技術の進歩から新たな技術や応用が出現する可能性もありますが、すでに日常に利用されているAIの代表的な技術や応用の代表例にどんなものがあるのかいくつかあげてみましょう。

    AI技術の代表例

    シンギュラリティとは?

    AI時代に注目すると必ず登場する言葉ですが、シンギュラリティの意味を知っていますか?シンギュラリティとは、人工知能やテクノロジーの進化が急速に進んで人間の知能や能力を超える段階のことを指す概念を言います。つまり人工知能が人間の知能を超えてしまい、人間の手に負えず自己進化を続けるようになり、社会や文明に大きな影響を与えるのではと、AIを研究する専門家や科学者の間では考えられ、議論されています。まさにSF映画のような未来の出来事が現実になるかもしれないのです。

    シンギュラリティによる影響

    このシンギュラリティの概念では、人工知能やロボットが人間の思考や判断力を持ち、複雑なタスクを自律的に実行することができるようになると予想されています。そうなると、医療やエネルギー、交通、経済など、あらゆる分野で革新的な変化がもたらされる可能性が出てきます。

    シンギュラリティが現実化すると、AIによる自動化が進むことで、仕事の多くが代替される可能性も指摘されています。また、医療やロボティクス、バーチャルリアリティなどの分野での技術の進歩により、人間の身体的・知的能力の拡張や延命も夢物語でなくなるかもしれません。

    シンギュラリティによる影響

    一部では、シンギュラリティは2030年代から2050年代の間に起こるのではと予測されていますが、ある専門家や研究者の中には、シンギュラリティ自体が本当に訪れるのかと疑問視する声も出ています。あくまでもシンギュラリティは未来の可能性としての概念で、一般社会におけるその影響や具体的な展開についてはまだ不確定な事が多いのです。今後、さらなる研究や技術の進化が進むことで、将来のシンギュラリティに関する理解が深まることでしょう。科学者や専門家たちは日夜研究し、今もなお議論を交わしている分野であることも気に留めておきたいですね。

    将来なくなる仕事と増える仕事

    AI時代の到来と共に私たちや子供たちの将来に大きく影響してくるのがAI時代の職業についてです。これまでのAIの「ビッグデータを解析する」というイメージが大きく進化したのは、2022年に画像生成AIの「DALL·E」や「Midjourney」や文章生成AIである「ChatGPT」の登場ではないでしょうか。現時点では、学習のために大量のデータインプットが必要ですが、AIによるイラストや小説などの創作活動までができる時代へ突入しています。

    現在の予測で、将来的に減少する可能性があるとされている仕事は以下のような作業がある仕事と言われています。

    将来なくなる仕事

    その一方で、AI関連の仕事が増加することが予測されています。こちらは一部となりますが、例としてあげてみましょう。

    将来増える仕事

    AI時代における仕事の変化は、技術の進歩や社会の変化によっても左右されるため、あくまでも予測にすぎませんが、将来的に仕事面で大きな影響を受ける分野は多方面にわたりそうです。

    子供たちに求められる能力とは

    今、将来的に到来するAI時代に備えるため、子供のスキルや能力に何が求められているのかが段々と明確になってきています。具体的にどのような能力が必須になるのか見ていきましょう。

    まずはAIの根幹となっているプログラミングの基礎知識。その需要はというと、今以上さらに高まると予測できます。そして、今後増加する職業の内容を考えてもクリティカルシンキングと問題解決能力は必須で、複雑な問題に対処するためにより重要となっていきます。ですが、AIが自動化でルーティンな仕事を担当してくれる一方で、人間の創造性とイノベーション力もますます価値を持つようになります。新しいアイデアを生み出し、柔軟に問題に取り組む能力は、AIがどんなに進化しようと人間にある強みを生かせる部分です。これらのスキルを育む教育や習い事は、子どもたちがAI時代で活躍するためにも大切な選択の一つと言えるでしょう。

    もちろんテクノロジーが浸透するAI時代の社会では、デジタルツールや情報を適切に扱う能力、つまりデジタルリテラシーが高いことが求められます。チームでの作業が増えると、コミュニケーションスキルも今まで以上に重要となります。オンラインにより、場所や時間、言葉の制約がなくなるため、活躍の場は国内外を目指して、常に国際的な視野を持つグローバルマインドを育てることも大事ですね。そして、データ分析能力は、AI時代の情報社会においては、有用な情報を見つけ出すために必要な能力となります。AIの進歩と共に増える倫理的問題、社会的責任に対処する倫理的思考を持てるよう親が今からサポートしてあげましょう。ここでは、様々な能力を挙げましたが、これらのスキルや能力は必ず子供たちがAI時代を生き抜くための武器になるでしょう。

    子供だけに限らず大人にも言えることですが、今後のAIの急速な進化に対応できるよう、新たな知識を継続的に学ぶ意欲を持つことは忘れずに心に留めておきたいですね。

    AI時代に子どもたちが必須能力

    AI時代と共にゆく世界最先端の教育

    AI時代に求められる教育とは

    AI時代に求められる教育は、さまざまな要素が重要と議論されています。コンピューターサイエンスとプログラミングの知識はどの国でも重要視されています。AI技術の基礎を理解し、プログラミングスキルを身につけること、データ分析能力ももちろん必要です。大量のデータから有益な情報を抽出し、意思決定に活かす能力を伸ばしていくことも大切です。そして、デジタルリテラシーを学び、デジタルツールや情報の適切な利用方法を理解し、デジタル環境での安全性や倫理性をしっかりと学ぶことです。その一方で、これまで以上に人の感情を理解できる人間的でグローバルなコミュニケーションスキルや他者との関係をきちんと構築できる人間力も大切になるだろうと考えられています。

    AI時代に求められる教育は、これらの要素を組み合わせた総合的なものとなります。従来の教育に加えて、技術の進化や社会の変化に応じた新たなスキルや知識を身につける必要があります。AI時代に生き抜くための教育とは、このような予測を踏まえた上で、どのようなカリキュラムで子供たちにその能力を習得させるでサポートができるかが課題となってくるでしょう。

    現在、世界中の各国が異なるアプローチを取りながら、学生のスキルや能力を育成するためのプログラムやカリキュラムの開発が行われています。世界の教育事情については、AI時代の教育として欧州で成功しているフィンランド、アジア圏のシンガポールでの取り組みをご紹介します。

    欧州で1位のフィンランド

    フィンランドの教育システムは、学生中心のアプローチや教師の専門性をとても重視していて、世界でも常に高い評価を受けています。ここでは、授業内容での代表的な取り組みをご紹介します。

    フィンランドの取り組み

    プログラミング教育では、基礎的なプログラミングやコーディングが取り入れられ、デジタルスキルを身につけることができます。問題解決と創造性に焦点を当てた教育では、実際の問題に取り組みながら論理的思考やイノベーション力を養うことを目的としています。

    ここで言うコラボレーションとは、グループプロジェクトや協働学習によるチームワークやコミュニケーション能力を発展させる授業を指します。

    また、AI時代の子供たちに求められる能力として補強したいソフトスキル。コミュニケーションや問題解決、批判的思考などを育成し、AI時代の職場で求められるスキルをここで身につけていきます。

    フィンランドの教師は、子供の自己主導的な学びをサポートし、個別のニーズに合わせた教育を目指しています。これにより、子どもたちは自己学習や成長の能力を培い、AI時代に適応することができるとされています。

    フィンランドの取り組みは、以前から子供たちの総合的な発達とAI時代に必要なスキルの育成に注力しており、その結果フィンランドの教育システムは国際的に高く評価されています。到来するAI時代に向けて、他の国々もフィンランドの成功を参考にし、教育においても総合的なアプローチを取り入れることが求められています。

    アジア圏で成功しているシンガポール

    シンガポールでは、先進国の中でもSTEM教育に注力しているのが特徴です。特にシンガポールの教育は、科学技術、工学、数学、コンピューターサイエンスの分野で強みを持っています。STEM教育を通じて、子供たちは論理的思考や問題解決能力を身につけ、AI時代においても技術的なスキルを活かせるようになります。

    また、シンガポールでは、デジタルリテラシーやアントレプレナーシップ教育も重視されています。デジタルリテラシーの習得により、子供たちはデジタル環境で安全かつ効果的に活動する能力を身につけることができます。アントレプレナーシップ教育とは、イノベーションや起業家精神を育み、自己実現やビジネスの創造に向けた能力を発展させることを特長としています。

    シンガポールの教育システムは柔軟性があるため、個々の能力や関心に合わせた学習が可能であることも子供たちを成長させる要因のようです。さらに、学校、産業界、政府の連携により、AI技術やデジタルイノベーションに関する知識やスキルを教育に組み込むことで、子供たちはAI時代に求められる能力を自然と身につけることができます。シンガポールは、幅広い分野での能力の育成とAI時代に対応した教育の実践に注力している国と言えます。

    シンガポールの取り組み

    フィンランドとシンガポールでは、これらの取り組みにより、AI時代において必要な技術的なスキルや問題解決能力、コミュニケーション能力などをフルに活かすことで、イノベーションやデジタル領域、STEM分野、起業家などのさまざまな分野で社会に貢献することが期待されているのです。

    その他の国のユニークな取り組み

    AI時代の到来は、新たなスキルを身につけることの重要性を高めていますが、その一方で、先進国では人間的なスキルを育むことにも力を入れています。それらはAIには再現できない、豊かな人間性や感性を発揮するための要素を強化することです。

    アートや音楽の習い事は、創造性や表現力を育てる場として重視されています。AIが定型的な作業を効率的にこなす一方で、我々の持つ感性や創造性が評価される場が増えているからです。このような習い事は、ビジュアルリテラシーの向上やデザイン力の育成にも寄与します。

    心理学やメンタルヘルスの知識は、自己理解や他者理解、そしてストレス管理という重要な能力を養います。これはAI時代の人間関係を円滑にし、高いパフォーマンスを維持するための基盤となり、またそのような職業の重要性もAI時代には高まると予測されています。

    フィジカルトレーニングやスポーツは、長時間のデスクワークが増えるAI時代において、身体の健康を維持する手段として重要です。また、ストレス発散やリラックス効果により、ワーク・ライフ・バランスの保持にも貢献します。

    AI時代では、これらの"人間らしさ"を引き立てるスキルが、子供たちの広範な発達を支え、人間の価値を高めるために必要とされています。未来の社会に適応するために、人間性を大切にすることの重要性を忘れてはなりません。

    日本でできる環境づくりや親の心構え

    AI時代の親の役割は、これまで以上に重要になってきています。親が積極的に関わることで、子供たちは自身の可能性を最大限に引き出すことができます。

    まず、親としては、子供の興味や才能に対する関心を持つことが重要です。何に情熱を感じ、何に向かって努力しているのかを理解し、応援してあげましょう。そうすることで子供たちが自分自身を理解し、自信を持つための基盤となります。

    そして、子供の創造性を育めるよう、子供たちの自己表現を尊重してあげましょう。子供たちの意見やアイデアを重視してあげることで、親は子供たちに自己表現の重要性を教えあげることができます。

    また、これからの時代は、リーダーシップと協力を促すことも大切です。子供たちが自己主導で考えることができ、他人と協力して問題を解決する経験を積ませてあげることは親ができるなによりの強力なサポートとなるはずです。

    親は、子供たちが日常の中でできる限り積極的に学びに参加できるよう楽しい環境を準備しましょう。学びの喜びを親子で共有し好奇心を育てれば、子供たちが終生学習者として、教えずとも自身で道を歩めることができます。

    もちろんバランスの取れた生活をサポートすることも忘れずに。学習や習い事だけでなく、適切な休息や運動も大切にすることで、子供たちの健康と幸せを見守りましょう。

    子供に体験させたい習い事

    AI時代の子供たちの習い事は、学校教育でカバーすることが難しい未来の社会での活躍を支えるスキルを養えるものがおすすめです。課外学習で習うプログラミングやコーディングは、AIやロボット技術の背後にある理論をしっかりと理解するために有効です。また、デジタルデザインは、子供の創造性を育み、デジタル世界での表現力を鍛えるのに役立ちます。

    英語は、これからの時代、多様な文化や視点に対する理解を深め、グローバルな視野を広げるためにもより大きな役割を果たしますし、プログラミングやコーディングを学習する上でもプラスに働きます。

    数年前から話題になっているSTEM教育は、科学的な思考力や問題解決スキルを養い、AI時代のイノベーションに貢献する人材を育てます。アートや音楽は、感受性や表現力を豊かにし、AI時代に必要な人間性を育むので子どもの適正に合わせておすすめしたい習い事の一つです。また、子供たちがマーケティングやビジネススキルを学ぶことは、アイデアを現実のものにするための具体的な手段を学ぶことができるので、子供たちが社会に興味を持つ良いきっかけとなるでしょう。ますます加速化するデジタル環境では子供たちもストレスを感じることがあるかもしれません。そういった意味でもフィジカルトレーニングやスポーツは、健康的な身体を維持し、ストレス管理に役立ち、大人になっても続けられる趣味にもなるため子供たちに良い影響を与える習い事と言えるでしょう。

    習い事を選ぶ時に重要なのは、子供たちの興味や能力に合わせて選ぶことです。楽しく身に付く習い事を選ぶことで、子供たちはAI時代に必要な「学び続ける力」を養い、将来への適応力を高めることができるはずです。

    以下は、子供たちにおすすめの習い事の一部です。

    AI時代におすすめの習い事

    親が注意したいこと

    AI時代が到来する中で、親が子供たちのサポートとして注意したいことは5つあります。

    まず「学び続ける楽しさを育てる」ことです。急速に進化する情報社会では、学び続ける意欲がとても重要となります。親としては、子供たちの好奇心を常に刺激し、学びたいと思う環境を準備してあげられることが求められます。

    そして、AIやデジタル技術が日常生活に浸透する世界では、デジタルリテラシー(情報の評価や個人情報の管理、オンラインセキュリティなどのスキル)を身につけることが大事です。親は子供たちに安全なインターネットの使い方や情報の適切な扱い方を教えてあげることが必要です。

    また子供たちのアイデアを生み出す力や自分の考えを深める力を伸ばすこともサポートしてあげましょう。AIが単純作業を自動化する一方で、創造的な思考や自己の意見を形成自己意見する能力は人間特有の強みとなります。親はその事を認識した上で、この力を育む環境を用意してあげられると理想です。

    AI時代では、「コミュニケーションスキル」も重要になると考えられています。テクノロジーが進化し、コミュニケーションの形が変わっても、人と人との関わりは不変です。親は子供たちのコミュニケーション能力を日頃から対話でサポートしたり、友達など集団での人間関係をうまく育めるよう見守りましょう。

    そして、最後にオンラインとオフラインの時間をうまく調整する習慣を身につけさせましょう。デジタル化が進む一方で、適切な休息、運動、現実世界での体験ができるアウトドア活動など、オフラインの時間が非常に大切になってきます。親は子供たちが健全なライフスタイルを送るためのバランスを教える役割を果たすことを忘れずにいましょう。

    親が注意したいこと

    親は上記のポイントに注意しながら、子供たちの成長をサポートすることができます。

    AI時代を不安に感じる親御さんもいるかもしれませんが、この時代がどんな時代になるのか大人がポジティブに意識して生活に取り入れていくことで、子供たちと一緒に楽しく学べる環境を用意してあげれることでしょう。

    (参照)
    • 神野元基(著)『人口知能時代を生き抜く子どもの育て方』ディスカヴァー・トゥエンティワン
    • 中村一彰(著)『AI時代に輝く子ども STEM教育を実践してわかったこと』CCCメディアハウス
    • 松村太郎、山脇智志、小野哲夫、大森康生(著)『プログラミング教育が変える子どもの未来』翔泳社