右脳で癒す子供のストレス解消法
【目次】
現代の子供たちの忙しい日常
時間に常に追われた日常を送っているのは何も大人だけではありません。小学校でのお勉強以外に、日々の宿題や習い事、そして学童や塾など、忙しいスケジュールに追われている現代の子供たち。日本で生活する小学生の忙しさはどのように生まれるのでしょうか。子供が休む間もなくこなさなければならない忙しさは、想像以上に子供の脳も疲れさせています。ここで現代における日本の小学生の忙しさの原因を一つずつ紐解いてみましょう。子供の心身を健康的に育てたいと願う保護者が改めて客観的に原因を知ることは、大事なことであり具体的な対策を考える大きな1歩となります。ここでは、その可能性のある原因をあげながら子供たちの脳にどんな負担があるのか、そしてすぐにでも日常に取り入れたい具体的な対策をご紹介いたします。
学業負担
小学生は学校で基本的な教育を受けるため、学業に時間を割かなければなりません。宿題、試験勉強、プロジェクトなどが日常的な学習活動に含まれます。
追加の教育活動
多くの子供が学業以外の教育活動に参加しています。塾や習い事(音楽、スポーツなど)は、週に何日かの時間を占めることがあります。
スポーツとクラブ活動
スポーツやクラブ活動(サッカー、バスケットボール、スカウト、合唱団など)は、小学生のスケジュールに組み込まれることがあり、週末に試合やイベントに参加することもあります。
デジタルメディアとSNS
デジタルデバイスやSNSの使用も小学生の生活に影響を与えており、かなりの時間を費やすことが増えています。
家庭の期待
また、家庭環境や親の期待によって、子供たちはさまざまな活動に参加させられることがあります。親の期待に応えようとするプレッシャーも小学生に影響を与えることがあります。
イベントと行事
学校や地域社会のイベント、行事、祝日も小学生の忙しく過ごしています。学校の文化祭、運動会、クリスマスなどが含まれます。
子供の脳は疲れている
この小学生の忙しさは、地域や文化、家庭によって多少異なりますが、小学生はそれぞれに忙しい1日を送っています。実は、この忙しい子供の1日をみると、左脳を偏って多く使っている傾向が見られ、子供の脳がとても疲れてしまうというのです。左脳を使ってしまっている要因を一点ずつみてみましょう。
学業への重点
現代の子供は学業に多くの時間とエネルギーを費やすことが期待されています。日本における現在の教育制度は、知識の習得、論理的思考、数学、科学などの分野に重点を置いており、常に左脳の機能を要求していることが多くあります。
論理的思考と評価
学業や評価の対象となるテストでは、論理的思考、分析力、計算能力が求められます。これらのスキルは左脳を中心とした認知プロセスに関連しており、学校生活において主要な役割を果たしています。
競争社会
子供が生きる現代社会は競争社会です。子供たちは将来の成功を追求するために、高い学業成績や専門的なスキルを磨く必要があり、その活動は左脳を活性化させます。
デジタルテクノロジーの影響
デジタルデバイスやコンピュータゲームは、視覚的な刺激や論理的な問題解決を通じて左脳を刺激することが多いです。現代の子供はこれらのテクノロジーと相互作用する機会も多く、このライフスタイルも左脳をより多く使うことになります。
構造化されたアクティビティ
多くの子供は構造化されたアクティビティに参加します。スポーツ、音楽、ダンスなどの練習や競技を行いますが、これらの活動も論理的なルールやパターンに従うことが求められるため、左脳を活用します。
左脳を使いすぎるとストレスが起きる
子供がいかに左脳を使っているかという日常の行動を追ってきましたが、左脳を常に使っている状態が長く続くと生じる影響の一つにストレスの増加があげられるのです。これはもちろん子供だけではなく、大人にも当てはまります。それでは、左脳を使いすぎると具体的どんな影響があるのかその可能性を説明していきます。
創造性の制限
左脳は論理的思考や分析的能力を担当していますが、創造性や直感的思考は右脳に関連しています。左脳重視の状態が続くと、創造性が制限され、新しいアイデアや視点の開発が難しくなるかもしれません。
ストレスの増加
長期間の過度な左脳活動は、ストレスの増加につながる可能性があります。左脳は問題解決やストレスへの対処にも関与しますが、過剰なストレスは身体と心に悪影響を及ぼします。
感情の制約
右脳は感情の処理に関わっており、感情表現や理解をサポートします。左脳ばかり使うと、感情の制約につながり、健康を害する影響も与えます。
社交的なスキルの制限
社交的なスキルやコミュニケーション能力は、感情認識や非言語的なコミュニケーションに左脳と右脳の両方が関与しますが、左脳重視の状態が続くと、社交的なスキルの発達が妨げられる可能性もあります。
バランスの喪失
脳の左右のバランスはとても重要です。片方の脳領域の過剰な活性化は、全体のバランスを崩す可能性があります。バランスの取れた脳の発達は、多様なスキルと経験をサポートし、健康的な認知機能を維持するのに役立ちます。
そのため、子供が左脳を長時間使っている状態が長く続くと、創造性や感情的な健康、社交的なスキルの制約、ストレスの増加などの問題が大いに生じる可能性がでてくるのです。保護者や教育者は子供の左脳と右脳の両方をバランスよく活用する機会を意識的に与えてあげることが家庭でも教育の場でも大切となります。
人間の脳の働きとは?
1981年にノーベル生理学・医学賞を受賞した神経心理学者であるロジャー・スペリーは、「脳は、右脳と左脳が異なる働きをする『分離脳』である」ことを解明し発表しました。現代の脳科学では、左脳と右脳の役割を厳密に「完全に分離されたもの」として捉えることは、過度に簡略化された考え方で、実際の脳の機能は、左脳と右脳の協力と連携によって成り立っている部分も多く、相互作用が重要だという見解ですが、ここでは分かりやすく、一般的に浸透している左脳と右脳についての役割をご紹介いたします。
左脳と右脳の役割
人間の生活や活動において、左脳と右脳は協力して多くのタスクを遂行します。それでは、左脳と右脳がどのような役割をしているのか具体的にみていきましょう。
左脳の主な役割とは
左脳は一般的に言語処理、数学的能力、論理的思考、評価、解析、計算などの認知機能に関与しています。右手を支配する役割もあります。
右脳の主な役割とは
右脳は視覚的な情報処理、空間的な能力、創造性、直感、感情処理など、非言語的な認知機能に関与しています。左手を支配する役割もあります。
このように、左脳と右脳は異なる役割を果たし複雑な脳機能を補完し合っていることがわかります。このバランスの取れた活用によって、人間は多様な認知タスクを遂行し、日常生活や創造的な活動を実現することができるのです。
脳のストレスとリラックスの関係性
それでは、この左脳と右脳の役割と、人間が感じるストレスとリラックスの関係性をさらに詳しくみてみましょう。左脳は、上記のように、言語処理、数学的能力、論理的思考、評価、解析、計算などの認知機能を担当しているため、実はストレスの認識と対処にも関わってきます。また、右脳は、直感的思考、創造性、感情処理、視覚的な情報処理など非言語的な認知機能を担当しているので、リラックス状態やクリエイティブな活動に大きく関わってきます。
ストレスと左脳の関係
ストレスは脳の左脳によって認識され、解釈されます。つまり、左脳はストレスフルな状況や課題に対して分析的にアプローチして、問題解決や対処策を考える役割を通常は果たします。しかし、過度のストレスや常にストレスにさらされる状態になると、左脳が疲弊しストレスの増大につながることがあるのです。
リラックスと右脳の関係
リラックスは右脳によって促進されます。右脳は視覚的な情報処理、感情の処理、クリエイティブな活動を通じて脳がリラックスした状態をサポートすることができます。視覚的なマインドフルネス、アート、音楽などの活動は、右脳を活性化し、人間にリラックス感をもたらします。
ストレスの影響とリラックスの必要性
現代社会の日本では、ストレスを抱える大人も多く「ストレス」という言葉を日常的に耳にすることも多いですが、それは子供にも言えることです。長期間にわたるストレスは身体と脳に悪影響を及ぼすことがあり、健康問題まで引き起こすことがあります。そのため大人と違い、 ストレスに対しての自覚症状がない子供のストレスを大人が適切に管理してあげる必要があります。リラックスとは、身体と脳をストレスから解放し、回復させる重要な要素であること。右脳の活性化を通じて、感情の安定、ストレスホルモンの削減、心地よい状態への到達が可能であることを大人が理解し、意識的に子供をサポートしてあげることが大切です。
バランスの重要性
さらに左脳と右脳が相互に補完し合う役割を果たしているため、バランスがなによりも重要であることを念頭にサポートしてあげることが重要です。適度なストレスを処理し、適切なリラックスを得るためには、左脳と右脳の協力が必要です。リラックス法やストレス管理のアプローチは、子供のそれぞれの好みや必要に合わせて試してみましょう。
子供におすすめは絵を描くこと
ストレス解消の具体的な方法
子供が右脳をより活用し、自身の創造性や感情的な側面を育てるためには、これからご紹介する提案が役立つかもしれません。ここでは子供が右脳を使う8つの楽しいアクティビティをご紹介します。
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芸術とクリエイティブな活動
絵を描く、音楽を演奏する、手工芸品を作るなど、芸術的な活動をより取り入れてみましょう。これらの活動は右脳を活性化し、創造性を養います。
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自由な遊びと冒険
外で遊んだり、想像力を活用した冒険を楽しむ機会を与えましょう。架空の物語や遊びを通じて、右脳の発達を促します。
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観察とマインドフルネス
自然や環境を観察したり、心が感じることをすすめましょう。自然散策や星座の観察など、視覚的なマインドフルネス活動は右脳の活性化に役立ちます。
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ストーリーテリング
物語を語ることや創造的なストーリーテリングを通じて、子供たちの想像力を育てましょう。自分の物語やアイデアを表現する機会を提供します。
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音楽とリズム
音楽の演奏やリズムを楽しむ機会を持ちましょう。楽器の演奏やリズム楽器の演奏を学ぶことは、右脳の音楽的な能力を発展させます。
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興味を育てる
子供の興味に合わせて、自分で選んだ活動や趣味を追求させましょう。興味があることに取り組むことで、右脳の関心を大きく引き出します。
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フリープレイと自己表現
フリープレイの時間を与え、子供自ら発想し、自己表現する機会を与えましょう。制約のない遊びは創造力を養います。
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質問と探求
子供たちが質問をして、探求することを奨励しましょう。好奇心を刺激し、知識を広げるプロセスは右脳をより活性化します。
このような遊びを自然と日常に取り入れることは、子供の右脳の発達をサポートし、子供に必要な創造性や感情的な側面を育てます。保護者は子供の1日の活動を把握して、左脳と右脳の両方を上手に活用する機会を意識的に与え、子供の個性的な成長を応援してあげたいですね。
絵を描くことが究極のリラックス法
先ほどご紹介した右脳を使うアクティビティの中でも特に子供が簡単に取り組みやすいおすすめな活動として、「絵を描くこと」があります。ここでは、なぜ絵を描くと右脳が活動し、リラックスできる効果があるのか詳しく解説していきます。
創造性の促進 絵を描くことは、子供の創造性を刺激する一つの方法です。右脳は創造性や直感的な思考と結びつきが強いため、絵を描くことは右脳を活性化させます。絵を描く過程で、新しいアイデアや視点が生まれやすくなるため、このプロセスが脳を刺激しリラックス感をもたらすことがあります。
マインドフルネスと集中力の向上 絵を描くことは、一点集中やマインドフルネスが重要な役割を果たします。画面やキャンバスに向かって注意を集中することが、外部のストレスや不安から一時的に解放され、瞑想状態に入りやすくなります。この状態がストレスホルモンの分泌を減少させリラックス状態にしてくれます。
視覚的な表現 絵を描くことは視覚的な表現の手段でもあります。右脳は視覚的な情報処理に関与しており、絵を描くことで自分のアイデアや感情を視覚的に表現することができます。このプロセスは、自己表現や感情の解放に役立ち、ストレスを軽減させてくれます。
フロー状態の達成 絵を描くことは、自分の能力にあったちょうど良いチャレンジを見つけることができるので、子供の自己実現感を高めることもできます。この状態は「フロー」として知られ、作業に没頭して時間を忘れ、心地よい満足感を得ることができます。フロー状態に入ることは、ストレスの軽減やリラックスにつながります。
身体へのポジティブな影響 絵を描くことは、身体的なリラックスにも影響があります。描画中に深呼吸や筋肉の緊張を解放することで、身体的なストレスが軽減されることがあります。
このように、絵を描くことは右脳の活性化により心身のリラックス効果をもたらします。子供自身が好きな絵を描くことも、個人の好みや感情にぴったりの優れたリラクゼーションの方法と言えますね。是非、子供と絵を描くことを日常の中で取り入れてみてくださいね。
絵の苦手な子供が楽しめるヒント
でも、絵を描くのが苦手で楽しめないという子供もいるかもしれませんね。絵が苦手な子供が楽しく描ける方法があります。親子で絵を楽しめるアプローチを探してみましょう。新たな発見があるかもしれません。
プレッシャーを取り除く
子供が絵を描く時は、完璧を求めないようにしましょう。絵を楽しむためには、間違いに寛大に、自由に表現できる環境を与えてあげましょう。
様々な材料を使う
絵を描くために様々な材料を使って、子供が自分の好みを見つける手助けをしてあげましょう。クレヨン、色鉛筆、水彩絵具、粘土、綿棒や野菜、水風船、食品用ラップ、歯ブラシなどいろいろなものを使うことで楽しさが広がります。また紙の上だけではなく、ピザや、クッキーをデコレーションしたりといろいろなもので表現するのもおすすめです。
テーマやストーリーを決める
絵を描くためのテーマやストーリーを決めてあげることで、子供はアイデアを出しやすくなります。例えば、「自分の夢の家を描いてみて」といった具体的なテーマをあげることで絵を描きやすくなります。
親子で共同制作
子供と一緒に絵を描くことで、楽しさが倍増しますよ。親子のアートプロジェクトとして取り組みサポートしてあげながら、子供の創造性を自由に伸ばしてあげましょう。
自由な表現を応援
絵を描く時は、子供に自由に表現する機会を与えてあげましょう。ルールや制約を設けず、想像力を活かすことが大切です。
褒める
絵を描いている子供のその努力やアイデアを褒めましょう。ポジティブなフィードバックは、自信を高め、楽しさを増します。
アートブックや作品集を見る
有名な画家やイラストレーターの作品集を見ることで、子供は新たなインスピレーションを得ることができます。
アートクラスやワークショップに参加
アートクラスやワークショップに参加することも、プロの指導を受けながら絵を描く楽しみを体験できるのでおすすめです。親子で参加するのもいいですね。
絵が苦手な子供にとってはなにより楽しむことが最優先です。プレッシャーをかけずに、子供自身のペースで絵を描くことを見守り、伸び伸びと楽しみながら日々のストレス解消しつつ、リラックス効果が得られるようサポートしてあげましょう。
学びハブ編集部 富田直美