学びハブ

ホーム ー おすすめの記事

料理は実験!料理で学ぶサイエンス

#料理 #科学
記事カバー

【目次】

    料理は科学実験?

    材料を切って、調味料の分量を計量して、料理器具を使って火の強さを見ながら、材料を炒めたり、味付けをする。材料を混ぜて、冷蔵庫で冷やし、形を整えて今度はオーブンに入れて焼く、蒸す。いろいろな工程がある料理は、まるで科学の実験のよう。失敗しないように料理するには、きちんとレシピの手順を守って科学反応を見極めながら、適切なタイミングで次のステップを進めなければなりません。美味しい料理を作るにはもちろん経験も大切ですが、なぜ熱を加えるとその状態になるのか、食材の何と反応してその現象が起きているのか、子供には科学的な理由を教えてあげましょう。親子の料理の時間がとっておきの魔法の授業になるかもしれません!

    ハーバード大学子供向け「科学と料理」の授業

    ハーバード大学工学応用科学部(SEAS)が主催し、子供向けの非営利料理雑誌「ChopChop」と協力して開催した「キッズ・サイエンス・アンド・クッキング」というプログラムがあります。当時このイベントには、デイビッド・ウェイツ、マイケル・ブレナー、ホワイトハウスのエグゼクティブ・ペストリーシェフであったビル・ヨセスも参加し、芸術としての料理と科学探究をうまく掛け合わせたエキサイティングな内容で参加した9歳から12歳の子供たちの好奇心を大いに刺激しました。

    このプログラムで興味深いのは、料理を通じて科学や数学を教えることを目的としているところです。プログラムでは、誰もが食べ、料理もします。料理の方法を学ぶことはもちろんですが、厳密な科学と数学の授業を巧みに取り入れ実践しています。プログラムの目的は、子供が科学に興味を持ち、将来的なキャリアとして考えるきっかけを作ること、そしてそれ以上に科学とは何か、日常の分野でどのような形で科学が存在し、生活の一部として成り立っているのかということを体験し学べることです。子供たちが、近い将来的に選んだ職業に関わらず、科学に興味を抱き、世界に対して好奇心を持つようにと考えられています。

    なぜ料理は失敗するの?

    ここではまず子供が料理に挑戦する時になぜ失敗してしまうのか、具体的に失敗する理由の原因について、主なものをいくつかあげてみましょう。

    なぜ料理は失敗するの?
    料理の失敗の原因

    レシピの手順に従わない

    量を正確に計測しない、またはレシピの手順を正確に守らないことが原因で料理が失敗することがよくあります。

    熱の管理

    火加減が強すぎるか弱すぎると、料理はうまくいかないことがあります。適切な温度で調理することが重要です。

    食材の質

    新鮮で質の良い食材を使うことが、おいしい料理の基本です。古いまたは質の低い食材を使用すると、味や食感が劣化する可能性があります。

    慣れと経験の不足

    料理は練習が必要な技術です。初心者はしばしば失敗しますが、経験を積むことで改善されます。

    調理器具の不適切な使用

    適切な調理器具を使用しないと、料理の結果に影響することがあります。

    調理中の注意散漫

    料理中に他のことに気を取られると、タイミングを逃したり、手順を間違えたりすることがあります。

    この中でも特に量を正確に計測したり、手順を守ったり、熱の管理などは科学実験に共通しますね。料理の場合も科学実験と一緒で経験を積み、失敗から学ぶことも勉強になります。失敗した時には、何がうまくいかなかったのかを考え、次回の調理に活かすことが重要となってきます。

    料理を失敗しないために

    さて、料理を失敗しないために特に注意を払った方がよい科学的な視点をご紹介しましょう。料理を作る際に科学的な視点を持つと、食材の化学的な変化や熱の効果を理解するのに大変役立ちます。もちろん料理は経験と直感に基づく場合も多いのですが、子供たちと料理を作る際には、このような科学的視点を活かして、いくつかの基本的なポイントを気を付けてみましょう。子供たちが科学と料理と両方の分野に関心をもちながら、料理の失敗を減らすことができますよ。

    料理を失敗しない方法
    料理の時の注意点

    レシピの丁寧な読み込みと理解

    料理を始める前にレシピをしっかりと読み、必要な材料や手順を理解しておきましょう。レシピをしっかりと理解できることは読解力にもつながります。子供が自分でレシピを読み、手順を実践できる手助けをしましょう。

    正確な計量

    材料の量を正確に測ることで、レシピの意図した味を再現することができます。もちろん、料理は目分量でも経験から美味しい味を導くことはできますが、初心者である子供と科学的な視点から実践するとなるとしっかりと計量するクセをつけるのも大事です。

    食材の準備

    食材を事前に適切に準備することで、調理がスムーズに進みます。例えば、野菜を切る、肉を切り分ける、必要な調味料を事前に用意するなどです。その場その場で準備するよりも、先に食材や調味料を計って子供たちと準備をすることも科学実験としての料理を盛り上げます。

    熱源の管理

    火加減を適切に調整することが重要です。料理によっては弱火でじっくり煮る必要がある場合もありますし、強火でサッと炒める必要がある場合もあります。

    タイミングと注意力

    調理中は集中して、タイミングを見計らうことが大切です。焦げたり、煮すぎたりするのを避けるためには、料理に注意を向け続ける必要があります。子供たちがじっくりと観察する目を養います。

    清潔な作業環境

    調理環境を清潔に保つことは、食品の安全性を確保し、味にも影響します。子供に衛生管理の重要さも伝えましょう。

    経験と実験

    料理は練習と経験が重要です。失敗から学び、次回に活かすことが大切です。

    科学的な知識は、焼き菓子のような精密なバランスが求められる料理や、特定の技術を要する料理には特に役立つことがあります。料理をする時には意識して取り入れてみましょう。

    料理と科学実験の関係

    ここで改めて、料理が科学実験だと定義される理由についても掘り下げてみましょう。料理が科学実験と一緒だと定義される理由には、料理過程と科学的原理が密接に関連しているからだといえます。料理と科学実験の共通点と関連性を具体的に考えてみましょう。

    料理と科学実験

    化学反応と変化

    料理では、食材を加熱、冷却、混合することによって化学反応や変化が起こります。例えば、パンの焼成時に生地が膨らむのは、酵母が二酸化炭素を生成する化学反応の結果です。これは科学的な原理に基づくプロセスです。

    温度と反応速度

    料理において温度は非常に重要で、食材や調理法によって温度を管理することで、調理プロセスや食材の性質を変化させることができます。科学実験でも温度の影響を調査し、反応速度を制御することがあります。

    物質の相変化

    料理では、液体から固体、気体から液体への相変化が頻繁に起こります。これらの相変化は科学的な原理に基づいており、材料の性質や味わいに影響を与えます。

    味覚と化学感覚

    料理は味覚と嗅覚に強く影響を与えます。食材の組み合わせ、調味料、調理法などは、科学的な原理に基づいて味や香りを最適化するために考えられています。

    食品の安全性

    食品の調理と保存は、微生物の成長を制御するための科学的な方法を採用しています。食品安全性に関するガイドラインは科学的な研究に基づいて策定されています。

    実験的アプローチ

    料理人は、常に新しいレシピや料理法を開発する際、実験的なアプローチを使用し、異なる要因の影響を評価していきます。材料、温度、時間などの要因を変えて、最適な結果を得るための試行錯誤が行われます。

    これらの点からも、料理は実質的には食品科学と密接に関連していることがわかりますね。料理は、常に科学的な原理を活用して最適な結果を得るための実験的なプロセスを実践しています。そのため、料理は科学実験だと言われるわけです。

    自由研究にも使える料理の科学実験

    それでは実際に自由研究にも使える家庭で簡単にできる料理の実験をご紹介します。ここではマヨネーズとバターの作り方をご紹介します。

    ● マヨネーズの作り方

    マヨネーズは、実は家庭で簡単に作ることができる調味料です。主要な材料は、卵黄、油、酢またはレモン汁、塩のみです。

    マヨネーズ

    マヨネーズの作り方とその科学的な原理を説明します。

    実験手順:

    1. 卵黄をボウルに入れ、よく混ぜます。これは乳化の最初のステップです。乳化とは、水と油が混ざり合う現象のことです。
    2. 油を少しずつ卵黄に滴下しながら、同時に混ぜ続けます。最初は少量の油を加え、しっかりと混ぜ込んでから、次の少量を加えることを繰り返します。油を卵黄と混ぜることで、乳化が進行し、マヨネーズが厚くなっていきます。
    3. 全ての油を加え、均一に混ざったら、酢またはレモン汁を加えてさらに混ぜます。これにより、マヨネーズに酸味が加わります。
    4. 塩を加え、味を調整します。オプションでマスタードや砂糖を加えて、好みに合わせた風味を追加することができます。
    5. 完成したマヨネーズを密閉容器に移し、冷蔵庫で保存します。冷蔵庫で保管することで、マヨネーズの保存期間が延びます。
    ● バターの作り方

    家庭で楽しめる料理に関連した科学実験の調味料の作り方をもう一つ。家庭でも簡単に実験結果を観察することができるので、子供の食品科学の興味を引き出すのにピッタリの実験と言えます。

    バター

    実験手順:

    1. 生クリームを密閉容器に入れます(ジャー、ビン、タッパーウェアなど)。
    2. 容器をしっかりと閉じ、クリームを振り続けます。最初は液体がクリームの中で揺れ動くだけですが、徐々にクリームが変化してきます。
    3. 約10〜15分間振り続けると、クリームが固まり、バターとバターミルクに分離します。バターミルクを取り出しておくことができます。
    4. バターを取り出し、水で洗ってバターミルクを完全に取り除きます。バターに塩を加えて、味を調整することもできます。

    こういった日常で体験できる楽しい料理の実験は、自由研究にもぴったり。子供が食品科学の基本的な原理を理解する手助けをし、料理の科学的な側面に興味を持つきっかけを作ってくれます。料理の科学実験は、サイエンスや食品関連の企業のサイトや動画でもたくさん事例が紹介されていますので、是非参考にしてみてくださいね。

    お気に入りの実験 | 自由研究におすすめ!家庭でできる科学実験シリーズ「NGKサイエンスサイト」 | 日本ガイシ株式会社

    料理にまつわる理系のお仕事

    ここでは、食品科学つまり料理にまつわる理系のお仕事、いわゆる調味料や食品関連の会社に勤めている人たちがどんなお仕事をしているのか、ご紹介しますね。調味料や食品関連の会社に勤務している研究員は、一般的に科学者と見なされています。通常は理系のバックグラウンドを持っている人が専門職としてお仕事されている場合が多いのです。

    料理にまつわる理系のお仕事

    具体的にその仕事の内容を詳しくみてみましょう。

    科学的アプローチ

    食品や調味料の開発や改良には、化学、生物学、栄養学、食品科学などの科学的な原理と技術が不可欠です。研究員はこれらの科学的知識と実験的スキルを活用して、新しい製品の開発や品質向上に取り組みます。

    材料の研究

    食品や調味料の成分や材料に関する研究が重要です。これには化学的な分析、組成分析、風味プロファイルの調査などが含まれます。

    製造プロセスの最適化

    食品の製造プロセスを効率的に行うために、工学的なアプローチが必要です。これは化学工学や食品工学の知識が役立ちます。

    品質管理と安全性

    食品関連の研究員は、製品の品質管理や食品の安全性に関する基準を策定し、品質保証を担当することがあります。これは科学的な監査やテストが必要です。

    新製品の開発

    新しい食品製品や調味料の開発には、創造性と科学的アプローチが組み合わさります。新しい味わい、テクスチャ、製品の特徴を設計するために、研究と開発が行われます。

    調味料や食品関連の会社で働く研究員は、このように科学的なバックグラウンドを持つことが一般的ですが、すべての研究員に当てはまるわけではなく、異なるバックグラウンドや専門知識を持つ人々が、さまざまな側面で食品関連の研究に貢献して成り立っています。食品科学は多様な分野からの専門家の協力を必要とする分野であるため、専門知識の組み合わせが大切となります。

    子供たちが身近な科学として体験できる料理。材料とキッチンさえあれば、どこでもチャレンジすることができるので、親子で楽しみながら、料理で科学実験を試してみてくださいね。

    学びハブ編集部 富田直美